2019.03.28

検証

コミュニケーションから発想した祝儀袋 

さまざまな祝儀袋のデザインを起点に、日本の贈答文化や感性を伝えたい。

日本の折形礼法や贈答文化について学ぶなかで、縁起物やそこに込められた意味について、その考え方や成り立ち、種類の多さに感銘を受けました。一方で、祝儀袋や水引、掛け紙には多くの意味が込められていますが、そのかたちや意味や由来を本当に理解して贈る人は少なく、祝儀袋に紙幣を包んで贈る行為がただ型だけのものになっていると自らの経験からも感じていました。

包みには、社会での関係性を構築しコミュニケーションを円滑におこなうための重要な役割があります。日本の贈答文化をより多くの人に知ってもらい興味を持ってもらうことをめざして、素材や結び方で格を現し縁起物の意匠を施すことによって、日本独自の感性を引き立てる祝儀袋のデザインに取りくみました。

かたちや意匠に込められた意味を理解することで相手を思う気持ちが強くなり、祝儀袋の選び方や渡し方にもこだわりをもつことができると思います。また、日本の文化や感性を再認識し大切にする気持ちにも繋がるのではないかと考えています。

祝儀袋の三つのテーマ。伝統、発展、賑わい。

一つめは、和紙やにおい、水引にこだわった格式の高い祝儀袋のシリーズです。格を表現することを意識して檀紙や奉書紙など正式な和紙を用い、その特性や透け感、組み合わせを考えました。水引のかたちや結び方にもこだわり、それぞれに意味を込めてできあがったのが、「蝶花籠結び」、「思い結び」、「鶴と稲」、「紅白と檀紙」、「紅白水引」です。日本の伝統を感じさせる清浄な美しさを重視しています。

二つめは、縁起物や文様を使ってデザインしたグラフィカルな祝儀袋のシリーズです。和紙を使用していますが、これまでの伝統の型にはおさまらず、そこから発展させて現代の生活にも取り入れやすいデザインを目指しました。日本の風景を朝、昼、夜の時間とともに表現した「逆さ富士」、「浜野浦の棚田」、「枯山水」と、縁起物のモチーフをあしらった、「扇と襲色目」、「稲と紙垂」、「宝尽くし」、「水晶」などです。

三つめは、クラフト紙や木材紙、トレーシングペーパーなど、和紙に限定せず気軽に扱える素材を使用し自由な発想でデザインした、縁日のような賑わいをイメージした祝儀袋のシリーズです。近しい人に贈る時でもいつもとはちがう特別感が出るように心がけました。ここでも梵字、松竹梅、瓢箪、千鳥、賽子、松などの縁起物を組み合わせています。

 

 

神戸芸術工科大学 ビジュアルデザイン学科卒業

青田 真由